2016年度後期連続テレビ小説『べっぴんさん』のモデル、あらすじ、ネタバレ、キャスト、相関図、主題歌をレポートします。
第95作目となる連続テレビ小説『べっぴんさん』は、戦後の焼け跡の中、娘のため、女性のために、子供服作りにまい進し、日本中を元気にかけぬけていく主人公・坂東すみれとその家族、そして、彼女の仲間たちが夢へと向かう物語です。
基本情報
【放送予定】
2016年10月3日(月)~2017年4月1日(土) 《全151回》
【脚本】
渡辺千穂(ドラマ『天体観測』)
【演出】
梛川善郎 新田真三 安達もじり
【プロデューサー】
堀之内礼二郎
【制作統括】
三鬼一希
タイトル「べっぴんさん」について
今日では、「べっぴん」という言葉は「美人」を表す意味で用いられる言葉として定着していますが、江戸時代には「別品」と書いて、「特別によい品物」を表す言葉として主に使われていたそうです。
今回のドラマでヒロインは、子供服を作るのですが、そのモノづくりに対する姿勢として、「それを着せる母親」「着る子供」にとって、この上ない愛情に包まれた「別品」となって欲しいという思いを込めていたのではと作者は考えました。
また主人公スミレは、女性の社会進出のさきがけとして精一杯生き抜いた姿が美しく、まさに「べっぴん」であったといえるのではないか。そんな思いが『べっぴんさん』というタイトルに込められているそうです。
モデル・モチーフは?
『べっぴんさん』の主人公・坂東すみれのモデル・モチーフとなったのは、子供服専門店ファミリアの創業者の一人、坂野惇子(ばんのあつこ)さんです。
familiar ファミリア 公式サイト
ファミリアといえば、シロクマの子どものキャラクターをあしらったデザインで知られる皇室御用達の子供服ブランドで、百貨店などで展開されています。
その創業者の一人である坂野惇子さんは、1918年にレナウンの創業者である父・佐々木八十八の3女として神戸で生まれました。
資産家の娘として何不自由なく成長した彼女は、18歳で結婚し、1女をもうけます。
しかし順風満帆な生活は戦争により一変。岡山への疎開や夫が行方不明となるなど、苦難の道が待ち受けていました。
その後、女性といえどもこれからは自らで生計をたてなければならないと決意し、洋裁の仕事を始めます。
それが手芸教室となり、「ベビーショップ・モトヤ」を開店し、ついには「株式会社ファミリア」創業へと発展していくのです。
キャスト紹介
坂東すみれ(ばんどう すみれ)・・・芳根京子(よしね きょうこ)
幼少期・・・渡邉このみ
本作のヒロイン。会社経営者の父と優しい母、快活な姉のいる裕福な坂東家の次女として生まれる。刺しゅうや縫い物が大好き。
自分が決めたことに向かうときの集中力はすさまじく、最後までとことんやり抜く芯の強さを持っている。
太平洋戦争中に結婚・出産・妊娠を経験。出征した夫の帰りを待ちながら子育てに奮闘する。
人々との出逢いに導かれ、得意だった洋裁の腕を生かして「子供服作り」を始める。
坂東五十八(ばんどう いそや)・・・生瀬勝久(なませ かつひさ)
すみれとゆりの父。布の売買をなりわいとする近江商人の家の次男として生まれる。
商売の才能があり、父から事業の一部を受け継ぎ成功を収める。
しかし、傾いた本家のために自らの得意先を兄に譲る苦渋の選択をすることになる。
その後幼なじみのはなとの結婚を機に、夫婦二人三脚で大坂に繊維会社「坂東営業部」を設立し一代で財を築いたものの、はなが亡くなってしまったことで無理をさせてしまったと後悔している。
合理主義で新しいものが大好き。娘には過保護なところがあるが、五十八の『よき相棒を作れ』『初志貫徹』という商売の哲学はしっかりと受け継がれていった。
坂東はな(ばんどう はな)/語り・・・菅野美穂
すみれとゆりの母で五十八の妻。五十八とともに「坂東営業部」の礎を築いた。すみれの芯の強さや明るい性格、手先の器用さは母親譲りである。
朗らかで明るく優しい母であったが、すみれが9才の時に亡くなる。
坂東ゆり(ばんどう ゆり)・・・蓮佛美沙子(れんぶつ みさこ)
幼少期・・・内田彩花
すみれの3歳上の姉。成績優秀かつピアノや運動も得意で、何事にも自信を持って取り組む。経営者の長女としての将来を思い描いていたが、戦争が起こったことで女性としての自分の生き方を模索していくようになる。
妹が大きく変わっていく姿にあせりを感じることがありつつも、出産・子育てを通して母性に目覚め、仕事と家庭の両立に苦労するすみれの大きな支えとなっていく。
野上潔(のがみ きよし)・・・高良健吾(こうら けんご)
幼少期・・・大八木凱人(おおやぎ かいと)
「坂東営業部」の番頭役・野上正蔵のひとり息子ですみれの幼なじみ。
強く、優しく、人の気持ちを理解し、自己犠牲もいとわない兄貴的存在で、多くの人をひきつけるカリスマ性がある。
戦後、父が五十八とともに築いた「坂東営業部」の再建に尽力し、生涯にわたってすみれを支え続ける。
野上正蔵(のがみ しょうぞう)・・・名倉潤
「坂東営業部」の番頭役で五十八が最も頼りにする存在。潔の父。
実直で頭の回転が速く数字に強い。大阪に出て働き始めたところで五十八と出会い、その下で働くことになる。一緒に会社の礎を築いてきたという自負もあるが、五十八がいなければ今の自分はなかったという感謝の念が強く、死ぬまで坂東家のために働こうと心に決めている。
のちに五十八が貴族院議員になってからは、坂東営業部の実質的な経営者となる。
小野明美(おの あけみ)・・・谷村美月
幼少期・・・坪内花菜
坂東家女中・マツの娘。幼い頃に父が亡くなり、母ひとり子ひとり、貧しくつつましい生活をしてきた。働きながら看護師の資格をとり英語も独学で学ぶ。看護師としての自分に協力を求めてやって来たすみれを、最初はお嬢様のざれ言と突き放すが、同じ信念を持つ女性としてのちに受け入れる。
多田良子(ただ りょうこ)・・・百田夏菜子(ももた かなこ)/ももいろクローバーZ
すみれの女学校時代の同級生で『手芸倶楽部』のメンバー。手先が器用で型紙から洋服や小物を作ることが得意。ムードメーカー的な存在で明るいお調子者。
女学校卒業後、すぐにお見合い結婚をし一児をもうけるが、戦争で夫の生死がわからない状況になる。そんなとき、すみれと再会し商売に誘われ会社の創設のメンバーとなる。
田坂君枝(たさか きみえ)・・・土村芳(つちむら かほ)
すみれの女学校時代の同級生で『手芸倶楽部』のメンバー。デザインやイラストが得意。生真面目で潔癖性、「軍国少女」趣味。
幼いころから病弱で、結婚し出産した後も床にふせることが多かったが、戦後すみれと再会したことを機に「自分を変えたい」と一念発起、会社の創設メンバーとなる。
麻田茂男(あさだ しげお)・・・市村正親(いちむら まさちか)
神戸の靴店「あさや」の店主で、坂東家出入りの靴職人。
腕が良く、実直で顧客からの信頼も厚い。普段はニコニコ、人当たりが良いが、仕事には一切の妥協を許さない職人かたぎな人間。
戦後、すみれたちに「あさや」の一角のショーケースを貸し、商売の第一歩を後押しする。
坂東トク子(ばんどう とくこ)・・・中村玉緒
五十八の母で、すみれとゆりの祖母。度量が大きく、優しい。跡継ぎである兄に得意先を譲って泣く泣く故郷を離れた次男・五十八に対して何もしてやれなかったという負い目がある。
その分、五十八と病弱だったはなの結婚には協力を惜しまなかった。
戦中、疎開してきたすみれたちを温かく迎え入れる。
相関図
相関図更新しました。
ストーリーあらすじ
すみれ。それがこの物語のヒロインの名前です。昭和のはじめ。神戸の山の手で生まれたすみれは、早くに亡くなった母から教えられた刺繍や手芸が大好きな女の子でした。会社を経営していた父、活発な姉のもとで何不自由なく育ち、18歳でお見合い結婚、ほどなく娘を授かります。
順風満帆に思われた人生でしたが、戦争ですべてが変わります。
夫は出征し、家は焼け、戦争が終わると財産は没収。おっとりとしたすみれはどうしていいかわかりません。そんなとき、幼い娘のために手作りした服を見た人から「それを売ったらいいんじゃないか」と言われたことをきっかけに、すみれは生きていくために子供服作りを始めます。
そんなすみれの周りには、様々な事情を抱えた女性たちが集まってきます。働いたことなどない女同士で「ああでもない、こうでもない」と言い合いながら、気づけば会社まで起業、子供服作りにのめり込んでいきます。
戦地から復員した夫は、当初、妻たちが働くことに猛反対。すみれの夫・紀夫は戦前の「男が働き、女は家の中」という考えが捨てきれず、また、儲けをあげることより「子供のため、ママのためによりよいモノを作りたい」という彼女たちの仕事のやり方も理解できません。
しかし、やがて彼女たちの意気込みに触れ、子供服作りに一途な彼女を陰ながら支える生き方を選び、「最強のパートナー」となっていきます。
「婦唱夫随」のすみれと紀夫は、仲間たちとともに「こだわりのモノづくり」を貫き、やがて宮内庁御用達と認められるまでになっていきます。そして後年、すみれは、大人になった娘たちとともに、念願だった「子供のモノなら何でもそろう」日本初の総合子供用品店をオープンさせることになります。
平成28年度後期 連続テレビ小説「べっぴんさん」制作のお知らせ | 連続テレビ小説 | NHKドラマ
主題歌
主題歌が決定しました!
タイトル「ヒカリノアトリエ」
作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
歌「Mr.Children」
発売日:未定
桜井和寿さんのコメント
「べっぴんさん」との出会いが、僕らにまっすぐな希望の歌を与えてくれました。
ひたむきな物語にそっと寄り添えるような曲でありたいと、強く願っています。
桜井和寿(Mr.Children)
まとめ
『あさが来た』『とと姉ちゃん』と前作が立て続けに高視聴率を上げているだけに、視聴者としては期待が高まり、制作者側としてはプレッシャーがかかるところだと思います。
脚本を担当される渡辺千穂さんは、フリーアナウンサーの羽鳥慎一さんの妻で、ドラマ『天体観測』でデビューされた方です。
それ以降は代表作と呼べるほどの作品が見当たらないので、できれば『べっぴんさん』頑張って欲しいところですね。
主演を務める芳根京子さんは、若くしてギランバレー症候群を克服し、朝ドラ主演オーディションを4回目にして勝ち抜いた努力の人です。
モチーフとなったファミリアの創業者・坂野惇子さんと通じるところがありますね。
子供服の歴史という、これまでドラマでもほとんどとりあげられたことのないテーマなので、新鮮に観れるという反面、どのような展開が視聴者に受けるのか全く未知数という不安があります。
この選択が吉と出るか、凶と出るか、とにかく、放送を楽しみに待ちたいと思います。