- ドラマ『わたしを離さないで』第9話の感想・あらすじ・ネタバレをレポートします。
これまで謎とされてきた陽光学苑の秘密が明らかに。
そして恭子と友彦は”猶予”を勝ち取ることができるのでしょうか?
第9話あらすじ・ネタバレ
友が傷つかないように、先に”猶予”が本当にあるのかないのか、それを確かめようとする恭子。
しかし恵美子先生は目的の住所にはおらず、すでに引越した後だった。
そこから恭子と友彦の探偵物語が始まった。
手がかりはマダムが持ち去っていた作品の行方。その作品を探し出してマダムまでたどり着こうとした。
必死に探す恭子と友彦の努力が実り、本の表紙に使われた恭子の絵が見つかる。
その本の出版社を通じてマダムと連絡がつき、二人は恵美子先生に会ってもらえることに。
”猶予”がもらえるかもしれないと期待に胸を躍らせる二人。
しかし、恵美子先生の口から語られたのは衝撃の事実だった。
「”猶予”は存在しない」
その言葉に愕然とする二人。
龍子先生が言っていた陽光学苑が持っているという「提供者たちを守るための計画」とは、”猶予”ではなかった。
それは、世界で最初のクローンを生み出した科学者の娘であり、最初のクローンその人であった恵美子先生が、絶対に変えることができないと悟った「クローンによる臓器提供制度」の中で、提供者が最大限に人間らしい人生を送ってもらうためのものだった。
・より長く生きてもらえるよう、優秀な介護人を育てること。
・「提供」を「使命」という大命題に置き換え、提供者たちが自分の人生に満足できるようにすること。
・少しずつ少しずつ、社会に対して「提供者たちも同じ人間」ということを分かってもらうため、魂の存在を訴える芸術作品を使って政治活動を行うこと。
これが恵美子先生が陽光学苑でやろうとしていた「提供者たちを守るための計画」だったのです。
”猶予”という「夢」を追えたことだけでも良かったと納得しようとする恭子と友彦。
しかし、やはりその事実はあまりにも大きく友彦の心を打ち砕き、友彦は残りの人生を生きる気力を失ってしまうのだった。
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感想
恵美子先生がなぜ陽光学苑を作ったのかが謎でしたが、彼女もクローンだったとは。そうなると、彼女の言葉の一つ一つに重みがあるように感じてきますね。
真実が所属していた地下組織のように、「権利」を主張するようなやり方では、一度手にした豊かさをヒトは絶対に手放さない。
声高に「権利」を主張するのではなく、地を這う虫のように、静かに少しずつ少しずつ人の「道徳心」に訴え、それと気づかれないよう社会を変えていこうとした。
これは10年20年というレベルではありません。100年かけてもその成果がでるかどうかわからない、ただ成功すれば確実に社会は変わる。これはそんな壮大な計画です。
ではなぜ陽光は廃校になってしまったのでしょうか?
計画の初期段階で資金的な援助が打ち切られてしまったのか、それとも計画に気づいた権力者によってつぶされてしまったのか。
また彼女の右腕として働いていた次郎先生はどうなったのでしょうね。
もしかして彼もクローンなのでしょうか?
恵美子先生が高齢のため学苑の運営を続けられなくなったとすれば後継者が必要になると思いますが、それには次郎先生が適任だと考えられますが、9話には登場しませんでしたね。
最終回には登場するようなので、この辺りの謎も解けてくるのではないでしょうか。
また、麻生祐未さんの演技は圧巻でした。
校長時代の凛とした雰囲気の演技はどこか機械的な感じがしましたが、今回の独白のシーンは静かさの中に鬼気迫る感じと不気味さが感じられ、観ていてゾッとしました。