NHK大河ドラマ『真田丸』に登場した「直江状」とは一体どのような内容のものだったのか簡単に説明します。
直江状とは、上杉景勝の家老・直江兼続が、徳川家康に向けて送った書状のことです。
内容のまとめとしてはドラマでも描かれている通り、ほぼ政権を手中に収めた徳川に対して上杉が謀反の疑いを向けられたことに対する申し開きの言葉を書き綴ったものです。
非常に長い書状で、ちなみに今回のドラマで兼続を演じておられる村上新悟さんによる全文朗読のパフォーマンスも行われました。
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家康から向けられた謀反の嫌疑について細かく言及して回答されています。
例えば、
家康からの上洛要請を拒否していることについては、前年に領地替えで会津にきたばかりで政務に忙しく、拒否しているのではなく遅れているだけ。
刀や鉄砲を集めていることについては、田舎の大名にとっては武器の収集が都で文化人が茶器を集めるのと同じような趣味みたいなものだから。
謀反の噂が立っていることについては、噂をたてているものの中には上杉家を出奔した藤田信吉など信じるに値しないものの言う讒言なので、噂の出所をちゃんと調べてほしい。
といった感じで語られています。
また随所に家康を持ち上げる表現が使われていて、対立しようなどというつもりはこれっぽっちもない、という意志を表明した内容になっています。
しかし、書状の後半部分には、「是非に及ばず候」という表現が使われており、
これは、「どうしても信用できないということであれば、戦も辞さない」という、上杉家のプライドをかけた非常に好戦的な意味の一言です。
結局、この内容に激怒した家康は会津征伐を決意し、関ヶ原の戦いのきっかけとなったと言われています。
ただ、この「直江状」は原本が発見されておらず、いくつかの写本が残っているだけです。
そのため、それぞれの写本によって若干内容が異なっており、条文の数も14条となっているものもあれば、多いもので16条まであります。
また、実際には家康に直接当てられた書状ではなく、上杉家との交渉に当たっていた徳川家の西笑承兌(さいしょうじょうたい)という臨済宗の僧に送られた書状です。
このように、直江状はその内容の真偽が定かではなく、後世に作られた創作なのではないかという意見もあります。
今回の三谷幸喜監督がこの「直江状」をどのように描くのかまだわかりませんが、パッとしない景勝を支える、しっかり者の家臣として直江兼続を登場させているので、最大の見せ場で何か仕掛けてくるのは確かでしょう。
どのような演出を用意しているのか楽しみですね。